17/11/2024
【居住地の自然と文化を顕彰する⑦ 藍染】
北海道における藍と自然との関係について、3つのポイントに沿って考えてみたいと思います。1つ目は「北海道における藍の歴史」、2つ目は「化学染料の登場」、そして3つ目は「自然の恵みに感謝する方法」です。
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1. 北海道における藍の歴史
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北海道の藍の歴史は、明治の北海道開拓時代に遡ります。藍の種は、主産地である徳島からの移住者により持ち込まれました。
徳島では吉野川下流域で、藍が栽培されました。この地域は大雨のたびに吉野川が氾濫するため、稲作には向きません。藍であれば台風シーズン前に収穫できるため被害を受けにくく、さらに洪水で新たに流入した肥沃な土のお陰で、連作が可能になったと言います。
また、藍は肥料を大量に必要とする作物で、当時は近海で取れるイワシを乾燥させ肥料として入れていましたが、不漁により北海道の鰊粕を求めるようになりました。徳島の農民たちにとっては、遠方からの肥料は高価だったのでしょう。そのため、広大な大地と安価な鰊粕を求めて北海道に移り住むようになったのです。
※鰊粕(にしんかす):鰊を煮て、圧搾して油をとったあと乾燥させたもの。窒素・リン に富み、魚肥として使用。鰊漁は明治後期に最盛期を迎えた。
このようにして、北海道内でも温暖な気候である伊達で藍の栽培が始まったのは1874(明治7)年のことです。それぞれの地の気候や風土と合った方法で、藍が栽培されていることが分かります。
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2.化学染料の登場
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その後、北海道では、伊達を中心に盛んに藍が生産されるようになります。ところが、明治時代の後期以降、変化が起こります。徳島の藍の栽培面積の推移がそれを物語っています。
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1903(明治36)年:15,000 ha
1907(明治40)年: 7,542 ha
1926(昭和元)年: 502 ha
1965(昭和40)年: 4 ha
1991(平成3)年: 22ha
(出典:四国大学 藍の家研究所)
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最盛期の1903(明治36)年から、わずか4年後になんと半減。その後も衰退の一途を…。高度成長期にはわずか4haとなってしまいます。このように激減した背景には、化学染料の登場があります。
化学染料は1856年、ロンドンで誕生します。天然染料(藍染を含む)よりも安価で手軽であることから、世界の主流となり、現在流通している商品の九割以上が化学染料によるものとなりました。
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一方で天然染料のメリットも沢山あります。
① 健康面で安全性が高い
② 環境汚染につながらない
③ 複雑な色合いが出せる
(出典:『手づくりが世界を救う』71頁)
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出典の書籍には詳しい説明があり、そこでは化学染料の問題点が2つ指摘されています。
【健康面】:化学染料の中には、発がん性を持っているものや、皮膚炎を起こすものもある。
【環境面】:化学染料は、染色後の排水には界面活性剤、合成糊剤などの汚濁物質が含まれ、そのまま流すと環境汚染につながる場合がある。
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一方、自然素材である天然染料には、健康面・環境面にこれらの心配はほとんどないうえ、グラデーションなどの複雑な色合いを出すことができるということです。
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残念ながら、天然染料は生産性やコストパフォーマンスにおいては化学染料にはかないません。
こうして、化学染料の輸入により、伝統染色が急激に衰退する一方、“復興運動”が始まります。作家の山崎斌(あきら)氏は、1930(昭和5)年、化学染料と区別して、天然染料による染色を「草木染」と命名して、染色や手織などの復興に取り組みます。
近年では、手づくり作品への人気の高まりや藍染が郷土の伝統文化として見直された結果、一時激減した藍の栽培面積も20ha程度にまで回復しています。
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3.自然の恵みに感謝する方法
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生長の家総裁・谷口 雅宣先生は、ブログ『唐松模様』にて、「居住地の自然と文化を顕彰する」と題するご文章にて、次のようにお示し下さっています。
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“戦後日本の急速な経済成長にともなって、高速道路や新幹線が通り、飛行場ができて、日本の各地にあった「文化的伝統」の多くが失われたかもしれません。その場合は、何が失われたかを知る必要があります。失われたものの中で、「自然の営みと調和したもの」があったら、その伝統を顕彰し、場合によっては復活させるのも、「感謝」の思いの表現です。”
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引用は以上です。
「顕彰」とは、世間にあらわすことです。つまり、私たちの身の回りにある自然と調和した「伝統的文化」について知ろうということです。
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生長の家には「SNIクラフト倶楽部」というグループがあり、自然素材を使ったクラフトづくりなどを実践しています。
今年度、十勝で活動するメンバーが、「藍の生葉染」を体験するミニイベントを開催しました。写真はその時のものです。自ら育てた藍の葉を使い、絹のスカーフを染めるという企画です。
染液の中では緑色だった生地が、空気に触れ青く染まる瞬間に、多くの参加者が驚きの声をあげ、「自然の恵み」を実感しました。
このようなミニイベントを通じて、微力ではありますが、自然と調和した伝統文化の“復活”に貢献するとともに、手づくりを通じて自然への感謝を深めたいと思います。
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参考:ブログ『唐松模様』 http://masanobutaniguchi.cocolog-nifty.com/monologue2/2020/11/index.html
参考:『手づくりが世界を救う』/宗教法人「生長の家」(SNIクラフト倶楽部)編
参考:北海道マガジン『カイ』 https://kai-hokkaido.com/archives/feature_vol52_indigo/
参考:四国大学 藍の家研究室 https://www2.shikoku-u.ac.jp/hls/ainoie/index/index.html