19/04/2026
継続と努力は才能に勝るといいますが、日々の小さな積み重ねが、やがて自分を支える大きな力となることがあります。先日、お檀家さまのご葬儀で、そのことをあらためて実感いたしました。
百一歳でお亡くなりになられた H さんは、学生時代に英文学を学び、英語教師として教鞭をとられ、退職後も公民館で英語購読会を開き、その活動を九十歳まで続けてこられました。
葬儀会場の片隅に設けられた思い出コーナーには、H さんが毎日欠かさず取り組んでこられた英語学習ノートが数冊置かれていました。手に取ってページをめくると、最後の記録は百一歳の8月1日、まさに「継続」の証でした。
H さんは英語を学び続けたことで、日本だけにとどまらず、世界各地に多くの仲間を得られました。写真に写る H さんの周りには、年齢も国籍も超えた友人たちが集い、その和やかな雰囲気が伝わってきます。ご葬儀には、共に学んだ多くの方々が参列し、顔を寄せ合って「See you again」と語りかけていました。
人は、気兼ねなく話せる友が一人でもいれば幸せだと思います。しかし九十歳、百歳ともなると、多くの友はすでに遙か空の向こうへ旅立ってしまっています。そんな中で H さんは、学び続けることで新たな友と出会い、豊かな人生を歩まれました。まさに「継続は力なり」です。
仏教では、継続の力を 「習気(じっけ)」 と呼びます。これは「行いが心に染み込み、やがて性格や生き方そのものになる」という意味です。私たちは年齢を重ねるほど、身体に染みついたもの、自然とできることこそが大切だと気づかされます。しかし、何かを続けていくことは、簡単なようで難しい。時には、続けることが苦しくなることもあります。そんな時は、水前寺清子さんの「三百六十五歩のマーチ」の歌詞を思い出しましょう。
「幸せは歩いて来ない だから歩いて行くんだね 一日一歩、三日で三歩 三歩進んで二歩さがる」
二歩さがってもいいのです。歩みを止めず、また一歩を踏み出せば、その足跡にはきれいな花が咲くでしょう。
次回の写経会(法話と写経の集い)は5月10日(日)午後3時からです。どなたでもご参加可能です。お待ちしております。